もし家を建てるなら皆さんはどんな家にしたいですか?ご紹介するのは趣味や好きなものを楽しめるオリジナリティ溢れる住まい。それは家の形状にも現れ、住み手のライフスタイルや好みを追求しています。手がけたのはJU DESIGN 建築設計室。様々なアイデアが散りばめられた豊かな空間が魅力的です。
のどかな住宅地にある東西に長い台形の敷地に計画されたのは2つの軸をもった平屋建ての住宅。遠くには山の風景も望める場所ですが、交通量の多い道路に近いこともあり、通りからの視線や騒音を遮るように壁と開口の形や位置を設定。山登りが好きなクライアントにぴったりな尾根が連なるような立体的な外観がひと際目立ちます。
玄関周りの壁には質感の豊かな木板を使い、アクセントを付けると共にシャープな印象になりがちな鋼板葺きの表情を和らげています。屋根をずらすことで生まれる軒下空間は、玄関ポーチそしてテラスに。道路側はあえて外塀を設けていませんが、閉じたデザインと緑化によって柔らかな境界と親しみを街並みに向けて作り出しています。
玄関を入ってみましょう。土間の三和土を進むと式台を上がって玄関ホールへと続きます。三和土にはちょうど良い高さの腰掛けを設置。買い物の後の荷物を置いたり靴の脱着の際に便利ですよね。壁のアクセントになったタイルはクライアントのDIYによるもの。自分で手を加えることでより一層愛着が湧きます。ハイサイドライトと地窓によってプライバシーに配慮しながら必要な採光を確保。
玄関の土間は趣味の土間空間へと続き、さらに掃き出し窓を介して庭に繋がります。この土間空間で山登りの準備やアウトドア用品の手入れなどができそうですよね。手前は木のボックスに収まった畳の空間。引き戸を開けると家全体が繋がる一体感のあるプランを採用。「インナーデッキのあるモダンな平屋」は土間空間の代わりにインナーデッキが広がりをもたらす住まい。是非参考にしてくださいね。
ラワン合板で仕上げた木のボックスに収まった和室は、壁と天井ともにやはりラワン合板仕上げで特別感を強調。縁なしの畳がモダンな雰囲気ですよね。コンセントやスイッチに黒を採用し、ディテールにもこだわっています。たった3畳の和室ですがその用途は実に様々であり何よりもLDKに広がりをもたらすと共に土間から庭へと繋がることで、実際の面積以上の開放感が味わえる豊かな空間となっています。
ロフトのあるLDKです。ユニークな野面石積みの壁の内側は水廻り空間を配置しています。傾斜天井と化粧梁がダイナミックな空間を演出し、まるで自然の中にいるような広がりが感じられます。温かみのある家具やラグなど住み手のセンスが現れたインテリアが見事に空間と調和していますよね。
ロフトへの階段は数段をオープンなデザインとし、出来る限り開放感のある空間づくりを意識しています。また壁のニッチを利用した棚や収納によって限られた面積を最大限に利用。ロフトの手摺は座卓として使えるカウンターを兼用。吹抜けを介して一体感と抜け感が生まれ、日常生活を豊かに彩ります。
リビングのテレビ台と一体化させて造作したダイニングテーブルです。曲線を描く温かみのあるテーブルの上にはワイン好きのクライアントのためにワインラックを設けました。予算の関係でクライアントも参加したDIYによる設えは、愛着が湧きますよね。落ち着いたラワン材や石積みの壁で構成される空間はまるで海外の酒場のよう。非日常的な空間が生活の一部となった豊かなデザインによる趣味や好きなものに囲まれて暮らす幸せを実感できそうな住まいです。